大峰山系 稲村小屋 ※ちなみに左の建物はトイレ
何もかも美しすぎ!ただし、無雪季はなんでもない道が冬季はデンジャラス。天川村の洞川地区に入ると路面は一変して凍結路。
スタッドレスタイヤはチェーンのようなグリップは無いので過信は禁物。
虻(あぶ)トンネルを抜けると、右手の観音峰登山口には車が多数。
さらに奥へと向かって旅館街に入るとさらに路面の氷は厚みを増して
グレーチングやマンホールとの段差からすると10cmを越えるほど。
オープン10分前のごろごろ水は3台ほど待ち行列。
9時5分前には母公堂に到着。
路面はスケートリンクのように真っ白だ。
雪濡れ対策にレインウェアの下、そしてゲイターを付けてアイゼン(6本爪)も装着。
雪の金剛山の千早本道なら水ボトル一本、軽い上着、アイゼンすら使わないほどなのに
本格的な雪山は特別装備が必要だ。
なにかと準備に時間がかかり、9時30分のスタートとなった。
8時半くらいにスタートできると思ったけど冬場だけに甘かったな。。
法力峠に向けては日陰側の植林地帯を延々と登り続ける。
トレースはあるものの雪深く、時間のわりに距離が伸びない。
10時50分、法力峠に到着。
写真を撮りながらであるが1時間20分かかった。
ここまでは山と高原地図のコースタイム通りである。
法力峠をすぎると尾根の南側を行くので日差しを受けてたちまち暑くなる。
稲村小屋までのルートは、冬場は危険なトラバースが多く、
尾根にあがる冬道というのも存在するらしいが今回はそちらへの踏跡は無かった。
無雪季だと何の問題もないルートが、ちょっと足を滑らすと数十m滑り落ちていく
という気の抜けない箇所が何度も何度も繰り返し登場する。
鎖を利用できる部分もあるが、何もないところでは斜面に左手を垂直に突っ込んで
谷川に足が滑ってもフックがかかるようにしてクリアする。
高度を上げるにしたがって雪の付き方が多くなり、
空気が澄んでいるのだろう、外界では見られない鮮やかに濃いブルーの空の色と相まって
非常に美しい光景に目を奪われる。
雪は深いところでは1mを超え、へたにカラダが埋もれると自力では脱出できなくなる。
それにしても雪の中を歩くのは疲れる。
姿勢安定、よろめき防止、疲労軽減のためにストックを使用するも、
トラバースでは使えない部分も多い。
雪質はというと、溶けやすいべったりした雪ではなく、砂のようなサラサラした感じなので
まとわりつきにくく、振り払うとサラっと流れ落ちる感じで粉雪の状態。
朝5時頃に朝食を食べたきりで11時ともなると6時間近くも経過しており
空腹感が増してきたので、途中、コーンフレークとカロリーメイト1袋を行動食として摂る。
そんなこんなで、法力峠から稲村小屋までは山と高原地図のコースタームである
1時間10分を大幅に越え、ちょうど倍の2時間20分かかった。(撮影で立ち止まっていた時間含む)
13時10分、稲村小屋に到着。
ここまでのところ、下山する人、男性2人、単独男性、男女のペアの計5名とすれ違った。
稲村ヶ岳のほうから単独男性が1名下山してきたが、稲村ヶ岳まで行かれたのかどうかは不明。
時間が時間だけに稲村ヶ岳山頂はおろか、大日山を覗きに行くつもりもない。
稲村小屋までで景色も疲れ具合ももうお腹いっぱいだ。
さっそくお昼の準備に取り掛かる。
いくら遅くても15時までには下山開始しないと日没に突入してしまう。
今日の昼食は袋ラーメンと惣菜パンという構成。
稲村小屋前は夏でも風が通って寒いので、
風の当たりにくい場所にあるベンチを掘り起こして最高に眺めの良いごきげんな場所を確保。
陽あたりも良くて寒くは無い。小屋に取り付けられた温度計はマイナス3℃だ。
イワタニプリムスのスパイダー(ホース付き)のバーナーを使ってお湯を沸かそうとするも、
冬用の燃料を布袋に入れるなどして冷えすぎないようにしてもほとんど気化せず、
出力全開にしたところで手をかざしてみてもほんのり温かい程度。
通常の出力の数%くらいでまったく使い物にならなくて焦る。
いろんな努力もむなしく、お湯が湧きそうにないので断念。
そういえば小屋の前にテーブルがあったのでそちらに移動。
椅子は無いので立ち食いスタイルになるが、さすがに小屋の中に近い環境で無風なので
バーナーは通常の35%くらいの出力の炎が出るようになった。
冷え切った水からお湯までは時間がかかるので、
温かい飲み物用として山専ボトルに入れてきた熱湯を使って時短をはかる。
久しぶりに食べたなつかしのワンタンメンは、これぞ自分の求めていたラーメンの味だ。
幼少の頃はラーメン屋などとは縁が無く、ラーメンといえば袋入りだったので、
このフニャ麺こそが好きなラーメンの味になってしまっている。
刻んできたキャベツに、スーパーで買った煮玉子を入れると最高の食べ物になる。
コレ以外には、セブンイレブンの焼きそばロールにコロッケバーガーを食べて大満足。
うん、冬場はしばらくこのパターンで行こう。
14時45分、もう誰も小屋までやってきそうにない。
日差し明るく、まだまだここに居たい気持ちはあったが下山を開始。
登りの時に感じた高度感、恐怖感は下山時ではすっかり薄れてしまってサクサク歩ける。
それでも足場の雪が沈んで滑り落ちそうになった。
下山は二時間ちょうどだった。
一日たっぷりと大満足の雪山歩きができた。
ワカンがほしくなったー。
その他の画像は以下より。